東大寺お水取りと青衣の女人(しょうえのにょにん)
東大寺お水取りと青衣の女人
東大寺お水取りと青衣の女人を紹介しています。青衣の女人(しょうえのにょにん)は「過去帳」を読み上げていた際、僧・集慶の前に現れ、「何故わたしを読み落としたのか」と恨めしげに問うたと言われています。僧・集慶がとっさに低い声で「青衣の女人」と読み上げるとその女人は幻のように消えていったと言われています。(詳細下記参照)
【東大寺お水取り2025 日程時間(要確認)】
東大寺お水取り2025は2025年(令和7年)3月1日(土曜日)~14日(金曜日)に行われます。なおお松明は19:00から行われます。ただ12日(水曜日)は19:30、14日は18:30から行われます。
東大寺お水取り2025日程
【東大寺お水取り 基礎知識】
東大寺お水取り(おみずとり)・修二会(しゅにえ)・お松明(おたいまつ)は正式には十一面悔過(じゅういちめんけか)と言います。十一面悔過では二月堂(国宝)の本尊・大観音(おおかんのん)と小観音(こがんのん)に罪を懺悔し、鎮護国家・天下泰安・万民豊楽・五穀豊穣などを祈願しました。お水取りは752年(天平勝宝4年)に東大寺の開山・良弁僧正の高弟・実忠(じっちゅう)が始め、以来一度も途切れることなく続けられています。ちなみにお水取りの名称は二月堂の本尊に井戸・若狭井(わかさい)から汲み上げたお香水(おこうずい)を供えたことに由来し、修二会の名称は旧暦の2月に修する法会に由来し、お松明の名称は夜毎松明(たいまつ)に火を灯したことに由来します。
東大寺お水取り2025
【青衣の女人(しょうえのにょにん)】
青衣の女人は鎌倉時代前期の承元年間(1207年~1211年)に僧・集慶(じゅうけい)が「過去帳」とも言われる「東大寺上院修中過去帳(とうだいじじょういんしゅうちゅうかこちょう)」を読み上げていた際、僧・集慶の前に現れ、「何故わたしを読み落としたのか(など我が名をば過去帳には読み落としたるぞ)」と恨めしげに問うたと言われています。僧・集慶がとっさに低い声で「青衣の女人」と読み上げるとその青衣の女人は満足して幻のように消えていったと言われています。青衣の女人は女人禁制の二月堂内に現れ、緑色の衣を着ていたと言われています。日本語では野菜を青物と言うように青衣の女人の衣は青色ではなく、緑色だったと言われているそうです。ちなみに「二月堂縁起絵巻・室町時代 (16世紀) 」には集慶を含む3人の僧侶と青衣の女人が描かれています。「過去帳」は亡くなった方の名前が記されているもので、二月堂の内陣に納められています。「過去帳」には東大寺が創建された奈良時代から現在までの期間、東大寺や二月堂に関係した人物、またお水取りとも言われる修二会(しゅにえ)に参籠した僧侶などの名前が記され、その冥福を祈る為に読み上げられています。「過去帳」はお水取り期間中の実忠忌(じっちゅうき)が行われる3月5日の夜と若狭井(わかさい)から本尊・観音菩薩(かんのんぼさつ)に供える「お香水(こうずい)」を汲み上げる3月12日の夜に二月堂の内陣で練行衆(れんぎょうしゅう)が読み上げます。ちなみに現在も「青衣の女人」を読み上げる際には声をひそめる習わしがあります。「青衣の女人」は平安時代後期の1180年(治承4年)の平重衡(たいらのしげひら)による南都焼討(なんとやきうち)で多くの伽藍を焼失した東大寺の再興に援助し、鎌倉時代初期の1195年(建久6年)3月に行われた大仏殿落慶供養会に数万の鎌倉武士を従えて臨んだ東大寺造営の大施主で、鎌倉幕府初代将軍・源頼朝(みなもとのよりとも)の少し後に読み上げられます。なおお水取りは神道の行事ともされ、初夜の大導師作法の間に1万3,700余所の神名が読み上げられ、神々が勧請されています。
実忠は生没年が明確ではありません。実忠は726年(神亀3年)に生まれたとも言われています。その後東大寺初代別当・良弁僧正に師事して華厳宗を学び、側近になったと言われています。752年(天平勝宝4年)に二月堂を創建し、同年2月1日からお水取りとも言われる十一面悔過(修二会)を始めたと言われています。「二月堂縁起絵巻・1545年(天文14年)」によると751年(天平勝宝3年)に実忠が笠置山で修行中に竜穴を発見してその中に入ると天人の住む天界(兜率天)に至り、常念観音院で天人が十一面悔過を勤修するのを見て、行法を伝授されて十一面悔過を始めたと言われています。実忠は良弁僧正のもとで東大寺の造営に尽力するだけでなく、西大寺や西隆寺の創建に参画したと言われています。774年(宝亀4年)に師・良弁僧正が亡くなり、その後東大寺の要職を歴任し、最後に権別当を勤めたと言われています。また790年(延暦9年)から815年(弘仁6年)に華厳経の大学頭に就任し、華厳教学の充実に尽力しました。
【東大寺お水取りと青衣の女人】
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東大寺見どころ