法隆寺の見どころ完全ガイド|五重塔などの観光スポット解説

法隆寺の見どころまとめ|国宝・重要文化財とおすすめ観光スポット
法隆寺は世界遺産に登録された奈良屈指の観光名所で、観光や修学旅行で絶対訪れたい人気スポットです。法隆寺には本堂である金堂をはじめ、高さ約32.55メートルの五重塔、大会式が行われる大講堂など多彩な見どころが揃っています。このページでは文化財やおすすめの観光スポットを分かりやすくまとめて解説し、歴史・建築様式なども交えて紹介します。
【五重塔(国宝)の見どころ解説|法隆寺最大の見どころ】
五重塔は法隆寺観光(西院伽藍)で最も有名な見どころで、必ず訪れるべき定番スポットです。五重塔は日本最古の五重塔と言われ、歴史的価値があります。五重塔は高さ約32.55メートルのシンボル・ランドマークで、法隆寺の中で一番写真・SNS映えします。五重塔は初層内陣の東面・西面・南面・北面に国宝に指定されている塔本四面具(とうほんしめんぐ)と言われる塑造(そぞう)の群像を安置し、厳粛な雰囲気に包まれています。五重塔では1926年(大正15年)にガラス製の舎利壺(しゃりつぼ)とそれを納める金製・銀製・響銅(さはり)製の容器から構成された舎利(しゃり)容器が発見されたことが豆知識です。
★五重塔は607年(推古天皇15年)の法隆寺創建時に建立されたが、670年(天智9年)に焼失しました。現在の五重塔は7世紀後半(飛鳥時代)に再建されたと言われています。
★五重塔は三間五重塔婆(さんげんごじゅうとうば)です。屋根は本瓦葺(ほんがわらぶき)で、初重もこし(裳階)付きです。初重から五重までの屋根の大きさの逓減率(ていげんりつ)が大きく、五重が初重の約半分という独特のプロポーションが飛鳥時代の特徴を表しています。
★2004年(平成16年)の年輪年代測定により、五重塔などに使われているヒノキ・スギが650年代末から690年代末に伐採されたことが分かりました。また五重塔の心柱(しんばしら)が594年(推古天皇2年)頃に伐採されたことも分かりました。
【金堂(国宝)の見どころ解説|法隆寺の本堂】
金堂は法隆寺の西院伽藍の中心的堂宇で、法隆寺の本堂にあたり、訪れるべきスポットです。金堂は中の間・東の間・西の間に分かれ、中の間に聖徳太子(しょうとくたいし)の為に造仏された金銅釈迦三尊(しゃかさんぞん)像、東の間に聖徳太子の父・用明天皇(ようめいてんのう)の為に造仏された金銅薬師如来(やくしにょらい)坐像、西の間に聖徳太子の母・穴穂部間人(あなほべのはしひと)皇后の為に造仏された金銅阿弥陀如来(あみだにょらい)坐像を安置し、天井に天人(てんにん)と鳳凰(ほうおう)が飛び交う天蓋(てんがい)が吊るされ、厳粛な雰囲気に包まれています。金銅釈迦三尊などの仏像は法隆寺を訪れた際に最初にお参りしたい仏様です。
★金堂は607年(推古天皇15年)の法隆寺創建時に建立されたが、670年(天智9年)に焼失しました。現在の金堂は7世紀後半(飛鳥時代)に再建されたと言われています。1949年(昭和24年)の解体修理中に行われた壁画模写作業中に火災が発生し、壁画などが焼損しました。この火災を教訓に1950年(昭和25年)に文化財保護法が施行され、火災が発生した1月26日が文化財防火デーになった歴史的建造物です。
★金堂は入母屋造(いりもやづくり)の本瓦葺で、もこし(裳階)付きです。
【大講堂(国宝)の見どころ解説|大会式】
大講堂は本尊・薬師三尊(やくしさんぞん)像(国宝)や四天王(してんのう)像(重要文化財)を安置しています。法隆寺では聖徳太子の命日である旧暦2月22日(現在3月22日~24日)に法隆寺最大の仏事と言われるお会式(おえしき)が聖霊院で行われ、10年に一度の大会式が大講堂で行なわれます。独特の供物が供えられ、雅楽の流れる中で僧侶が仏の徳を讃える声明(しょうみょう)を唱え、聖徳太子の徳を讃嘆します。
★大講堂は925年(延長3年)に鐘楼とともに落雷で焼失しました。現在の大講堂は990年(正暦元年)に再建されたと言われています。
★大講堂は入母屋造の本瓦葺です。
★大講堂は東側の鐘楼・西側の経蔵と回廊(東廻廊・西廻廊)で繋がっています。回廊は廊下だけでなく、聖域を区切る役割もあります。回廊は金堂などと同じ7世紀後半(飛鳥時代)に建立されたが、大講堂近くの折れ曲がり部分から北側は平安時代(794年~1185年)に建立されたと言われています。
【西円堂(国宝)の見どころ解説|大和北部八十八ヶ所霊場】
西円堂は大和北部八十八ヶ所霊場の第51番札所になっており、訪れたいスポットです。西円堂は本尊・薬師如来坐像(国宝)などを安置しています。薬師如来坐像は国内最大級の乾漆(かんしつ)像で、峯の薬師と言われていたそうです。節分に鬼追式(おにおいしき)が行われ、黒鬼・青鬼・赤鬼が松明を投げ、毘沙門天(びしゃもんてん)が鬼を追い払います。
★西円堂は奈良時代(710年~794年)に僧・行基(ぎょうき)が橘夫人(たちばなふじん)の発願によって創建したと言われています。また県犬養三千代(あがたいぬかいみちよ・橘三千代)が建立した伝承も残されています。現在の西円堂は1250年(建長2年)に再建されました。
★西円堂は八角円堂(はっかくえんどう)で、屋根が本瓦葺です。
【聖霊院・東室(国宝)の見どころ解説|僧坊】
聖霊院・東室は元々僧侶が生活する僧坊で、東室の南端部分が聖霊院に改築されました。聖霊院は法隆寺の聖域で、聖徳太子信仰の中心地の為、訪れたいスポットです。聖霊院には3つの厨子(ずし)があり、中央の厨子に本尊・聖徳太子像(国宝)、左の厨子に聖徳太子の長子・山背大兄王(やましろのおおえのおう)像(国宝)と兄弟皇子・殖栗王(えくりのおう)像(国宝)、右の厨子に聖徳太子の兄弟皇子・卒末呂王(そまろのおう)像(国宝)などを安置しています。聖徳太子の命日に行われるお会式で聖徳太子像がご開帳されます。聖霊院では御朱印「以和為貴(和を以て貴しと為す)」などを授与し、聖徳太子の教えを今に伝えています。
★聖霊院・東室は奈良時代(710年~794年)に建立されました。その後1284年(弘安7年)に東室の南端部分が聖霊院に改築されました。
★聖霊院・東室は切妻造の本瓦葺です。
【三経院及西室(国宝)の見どころ解説|僧坊】
三経院及西室は元々僧侶が生活する僧坊で、聖霊院・東室と対称的な位置に建立されています。三経院は阿弥陀如来坐像(重要文化財)など安置しています。三経院の名称は聖徳太子が「勝鬘経(しょうまんぎょう)」・「維摩経(ゆいまきょう)」・「法華経(ほけきょう)」を注釈したことに由来しています。例年夏安居(げあんご)の90日間に「勝鬘経」・「維摩経」・「法華経」の講義が行われ、伝統を受け継いでいます。
★三経院は1231年(寛喜3年)に再建され、西室は1268年(文永5年)に建立されたとも言われています。
★三経院及西室は本瓦葺の切妻造です。
【中門・南大門(国宝)の見どころ解説】
法隆寺にはいずれも国宝に指定されている中門・南大門があります。
★中門は左右に日本最古の仁王(におう)と言われる塑造金剛力士(こんごうりきし)立像を安置し、歴史的価値があります。中門は607年(推古天皇15年)の法隆寺創建時に建立されたが、670年(天智9年)に焼失しました。現在の中門は7世紀後半(飛鳥時代)に再建されたと言われています。中門は四間二戸二重門(しけんにこにじゅうもん)で、屋根が入母屋造の本瓦葺です。正面の柱間が偶数の特異で珍しい門です。
★南大門は西院伽藍の南側に建立され、法隆寺の玄関である総門です。南大門は法隆寺創建時に建立されたが、1435年(永享7年)に焼失しました。現在の南大門は1438年(永享10年)に西大門を移して再建されたと言われています。南大門は三間一戸八脚門(さんげんいっこはっきゃくもん)で、屋根が入母屋造の本瓦葺です。
【経蔵・鐘楼(国宝)の見どころ解説】
法隆寺にはいずれも国宝に指定されている経蔵・鐘楼があり、経蔵・鐘楼は対称位置に建立されています。
★経蔵は元々経典を納めていたが、現在は日本に天文学などを伝えたという百済(くだら)の学僧・観勒僧正(かんろくそうじょう)像を安置しています。経蔵は奈良時代(710年~794年)に建立されました。経蔵は二階建ての楼造で、屋根が切妻造(きりづまづくり)の本瓦葺です。
★鐘楼には奈良時代(710年~794年)前期に鋳造された梵鐘(重要文化財)を釣っています。梵鐘は年中行事以外には撞かれないそうです。鐘楼は925年(延長3年)に大講堂とともに落雷で焼失しました。現在の鐘楼は平安時代中期(1005年~1020年)に再建されました。鐘楼は切妻造の本瓦葺です。
【綱封蔵・食堂(国宝)の見どころ解説】
法隆寺にはいずれも国宝に指定されている綱封蔵・食堂があります。
★綱封蔵は元々正倉院と同じ、格式の高い勅封(ちょくふう)の蔵で、双倉(ならびぐら)とも言われています。綱封蔵は平安時代前期(794年~929年)に建立されたと言われています。綱封蔵は高床で、屋根が寄棟造(よせむねづくり)の本瓦葺です。
★食堂は本尊・薬師如来坐像(重要文化財)を安置しています。食堂は南側にある細殿(重要文化財)と軒を接していることから双堂(ならびどう)と言われました。食堂は奈良時代(710年~794年)に建立されました。食堂は元々寺務所(じむしょ)である政所(まんどころ)だったが、平安時代に僧侶が食事をする食堂に改められたと言われています。食堂は切妻造の本瓦葺です。
【上御堂(重要文化財)・西園院の見どころ解説】
法隆寺には重要文化財に指定されている上御堂や西園院があります。
★上御堂は釈迦三尊像(国宝)・四天王立像(重要文化財)を安置しています。上御堂は通常非公開だが、例年11月1日~3日に限って一般公開されます。上御堂は奈良時代(710年~794年)に天武天皇(てんむてんのう)の皇子・舎人親王(とねりしんのう)の発願によって創建されたが、989年(永祚元年)に倒壊しました。現在の上御堂は1318年(文保2年)に再建されたと言われています。上御堂は入母屋造の本瓦葺です。
★西園院は本坊(住職の居所)で、客殿(重要文化財)・上土門(重要文化財)・唐門(重要文化財)などで構成されています。西園院は通常非公開です。客殿は安土桃山時代(1573年~1603年)、上土門・唐門は江戸時代(1603年~1868年)前期に建立されたと言われています。
【大宝蔵院の見どころ解説|法隆寺の博物館】
大宝蔵院は法隆寺の博物館で、百済観音堂・東宝殿・西宝殿から構成されています。大宝蔵院では百済観音(くだらかんのん・国宝)などの寺宝を収蔵・公開しています。百済観音(観音菩薩(かんのんぼさつ)立像)は日本の仏像には珍しく、八頭身とも、九頭身とも言われる細身のすらりとした姿をしています。百済観音は像高約210.9センチです。
★大宝蔵院は1998年(平成10年)に建設されました。
【法隆寺の見どころ 備考(参考リンク・・・)】
●住所:奈良県生駒郡斑鳩町法隆寺山内1-1
●アクセス:JR大和路線の「法隆寺駅」下車徒歩約20分、奈良交通バスの「法隆寺門前」下車徒歩すぐ
*参考・・・法隆寺(見どころ・アクセス・・・)ホームページ