薬師寺の見どころ簡単解説-修学旅行・観光の豆知識

薬師寺(Yakushi-ji Temple)

薬師寺の見どころは東塔・東院堂・西塔・金堂・休ヶ岡八幡宮・玄奘三蔵院などです。

薬師寺の見どころを簡単にまとめて解説します。文化財・見どころには総高約34.1メートルで、国内で4番目に高い東塔(国宝)、元明天皇の冥福を祈る為に創建された東院堂(国宝)、450年振りに再建された西塔などがあります。また金堂・玄奘三蔵院等も見逃せません。なお修学旅行や観光で見るべき文化財・見どころの概要・歴史・様式・豆知識などを解説しています。

【薬師寺の歴史・簡単概要】

薬師寺は680年(天武天皇9年)に第40代・天武天皇が皇后・鵜野讃良(持統天皇)の病気平癒を祈願する為に発願し、藤原京右京八条三坊に創建されました。710年(和銅3年)の平城京遷都後に現在の場所である西ノ京に移されたと言われています。移転前の688年(持統天皇2年)に無遮大会が行われ、698年(文武天皇2年)に伽藍がほぼ完成したと言われています。その後973年(天禄4年)の火災や1528年(享禄元年)の筒井順興の兵火で多くの伽藍を焼失し、創建当初の建物は東塔だけになりました。

【総高約34.1メートルで、国内で4番目に高い東塔(国宝)】

  • 東塔の概要:東塔は修学旅行・観光で絶対に見る価値がある文化財です。東塔は総高約34.1メートルの三重塔で、西塔とともに薬師寺のシンボルです。東塔は東寺(とうじ)の五重塔・興福寺(こうふくじ)の五重塔・醍醐寺(だいごじ)の五重塔に次いで、日本国内で4番目に高い塔です。東塔は仏壇の四方に江戸時代に造仏された四仏、四隅に平安時代に造仏された四天王(してんのう)像を安置しています。東塔はかつて仏教の開祖・お釈迦様(おしゃかさま)の人生を表した釈迦八相(しゃかはっそう)の内、前半の四相(しそう・因相(いんそう))を表した塑像(そぞう)を安置していたが、室町時代に破損して仏壇に改められました。
  • 東塔の歴史:東塔は730年(天平2年)に創建されたと言われています。東塔は山内最古の建物と言われています。その後地震・台風などで損傷し、度々修理されました。ちなみに東塔は藤原京(ふじわらきょう)に建立されて移築されたのか、710年(和銅3年)に遷都された平城京で新築されたのかという議論があったが、2016年(平成28年)に心柱(しんばしら)が719年(養老3年)に伐採されたことが分かり、平城京で新築された可能性が高まりました。
  • 東塔の様式:東塔は三間三重塔婆(さんげんさんじゅうとうば)です。東塔は一見六重塔のように見えるが、各層に裳階(もこし)と言われる小さな屋根(下から1・3・5番目)が取り付けられ、六重塔のように見えます。東塔はその美しい姿から「凍れる音楽」とも評されています。東塔は屋根が本瓦葺(ほんがわらぶき)です。
  • 東塔の調査:東塔は2009年(平成21年)から開始された解体・修理に伴う調査により、心礎(しんそ)・四天柱(してんばしら)・側柱(がわばしら)の礎石(そせき)は創建当初から動かされていないことが分かりました。
  • 東塔の豆知識:東塔は相輪(そうりん)の上部に火災予防の為に水煙(すいえん)が祀られています。
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【本尊・聖観音を祀る東院堂(国宝)】

  • 東院堂の概要:東院堂は東塔に次ぎ、修学旅行・観光で見る価値がある文化財です。東院堂は厨子(ずし)に飛鳥時代後期または奈良時代に造仏された本尊・聖観音(しょうかんのん)立像(国宝)を安置しています。東院堂は当初、東禅院とも言われていたそうです。
  • 東院堂の歴史:東院堂は1285年(弘安8年)に再建されました。その後1733年(享保18年)に南向きから西向きに変えられたと言われています。ちなみに東院堂は養老年間(717年~724年)に皇女・吉備内親王(きびないしんのう)が第43代・元明天皇(げんめいてんのう)の冥福を祈る為に創建したが、973年(天禄4年)に火災によって焼失しました。
  • 東院堂の様式:東院堂は屋根が入母屋造(いりもやづくり)の本瓦葺です。東院堂は正面・奥行が正面七間・側面四間です。東院堂は水害や湿気を避ける為に基檀(きだん)が高いと言われています。

【西院の西門だった南門(重要文化財)】

  • 南門の概要:南門(山門)は境内の南側に建立されています。南門は元々、薬師寺西院の西門でした。
  • 南門の歴史:南門は1512年(永正9年)に建立されました。
  • 南門の様式:南門は一間一戸(いっけんいっこ)の四脚門(しきゃくもん)です。南門は屋根が切妻造(きりづまづくり)の本瓦葺です。

【鎮守社である休ヶ岡八幡宮(重要文化財)】

  • 休ヶ岡八幡宮の概要:休ヶ岡八幡宮は薬師寺の鎮守社です。休ヶ岡八幡宮は本殿・脇殿に僧形八幡神(そうぎょうはちまんしん)・神功皇后(じんぐうこうごう)・仲津姫命(なかつひめのみこと)を祀っています。
  • 休ヶ岡八幡宮の歴史:休ヶ岡八幡宮は1603年(慶長8年)に関白・豊臣秀吉(とよとみひでよし)の子・豊臣秀頼(とよとみひでより)が片桐且元(かたぎりかつもと)を奉行として再建しました。ちなみに休ヶ岡八幡宮は寛平年間(889年~898年)に別当・栄紹が大分・宇佐八幡宮(うさはちまんぐう)から八幡神を勧請したのが起源と言われています。
  • 休ヶ岡八幡宮の様式:休ヶ岡八幡宮は三間社(さんげんしゃ)流造(ながれづくり)で、屋根が檜皮葺(ひわだぶき)です。
  • 休ヶ岡八幡宮の豆知識:休ヶ岡八幡宮の社名は855年(斉衡2年)に大安寺(だいあんじ)の僧・行教が宇佐八幡宮から八幡神を大安寺八幡宮(元石清水八幡宮)に勧請した際、この地で八幡神が休息したとされることに由来しています。
  • 若宮社の概要:若宮社は休ヶ岡八幡宮の若宮です。若宮社(重要文化財)は鎌倉時代後期(1275年~1332年)に建立されたと言われています。若宮社は一間社(いっけんしゃ)春日造(かすがづくり)で、屋根が檜皮葺です。

【1981年(昭和56年)に約450年振りに再建された西塔】

  • 西塔の概要:西塔は修学旅行・観光で見逃せません。西塔は東塔と高さや意匠などが少し異なります。西塔は500年後に東塔と同じ高さになるように東塔よりも約30センチ高く再建されました。西塔はお釈迦様の人生を表した釈迦八相の内、後半の四相(果相(かそう))を表した諸像を安置しています。
  • 西塔の歴史:西塔は1981年(昭和56年)に伝統様式・技法によって再建されました。ちなみに西塔は1528年(享禄元年)に兵火によって焼失しました。
  • 西塔の様式:西塔は三間三重塔婆です。西塔は一見六重塔のように見えるが、各層に裳階と言われる小さな屋根が取り付けられています。
  • 西塔の豆知識:西塔は東塔とデザインは似ているが、東塔は裳階が白壁に対し、西塔は連子窓(れんじまど)になっています。東塔も当初、連子窓だったが、その後白壁に改修されたそうです。

【本尊・薬師三尊を祀り、本堂である金堂】

  • 金堂の概要:金堂は薬師寺の本堂で、奈良時代の仏教彫刻を代表する本尊・薬師三尊(やくしさんぞん)像(国宝)を安置しています。金堂は上層が写経を納めた納経蔵になっています。
  • 金堂の歴史:金堂は1976年(昭和51年)に再建されました。ちなみに金堂は1528年(享禄元年)に兵火によって焼失し、その後豊臣家が金堂仮堂を建立したが、1615年(慶長20年)の大阪夏の陣による豊臣家滅亡などにより、約400年間仮堂のままでした。金堂仮堂は興福寺(こうふくじ)に移築され、仮中金堂に改修されました。
  • 金堂の様式:金堂は内陣が鉄筋コンクリート造です。

【平山郁夫筆の大唐西域壁画がある玄奘三蔵院】

  • 玄奘三蔵院の概要:玄奘三蔵院(げんじょうさんぞういん)は修学旅行・観光で見逃せません。玄奘三蔵院は主要伽藍の北側にあります。玄奘塔は玄奘三蔵像と玄奘三蔵の頭部の遺骨(頂骨)・真身舎利を祀っています。玄奘三蔵院には日本画家・平山郁夫(ひらやまいくお)が30年の歳月を掛けて制作した縦約2.2メートル・長さ約49メートルの大唐西域壁画(だいとうさいいきへきが)があります。
  • 玄奘三蔵院の歴史:玄奘三蔵院は1991年(平成3年)に建立されました。
  • 玄奘三蔵院の様式:玄奘塔は八角円堂で、裳階付きです。
  • 玄奘三蔵院の真身舎利:真身舎利は1942年(昭和17年)12月23日に中国・南京で日本陸軍が偶然発見し、1944年(昭和19年)に一部が日本仏教会に分けれ、戦後に国外への持ち出しが許可され、埼玉県岩槻市(さいたま市岩槻区)の慈恩寺に祀られていたが、1981年(昭和56年)に薬師寺に分骨されました。
  • 玄奘三蔵院の行事:毎月5日に玄奘縁日法要、例年5月5日に玄奘三蔵会大祭、例年1月5日に平和祈願法要が行われています。

【本尊・弥勒三尊を祀る大講堂】

  • 大講堂の概要:大講堂では2003年(平成15年)に約500年振りに最勝会が復興されました。大講堂は山内最大の建物で、白鳳伽藍(はくほうがらん)の雄大さを象徴しているとも言われています。大講堂は本尊・銅造三尊(弥勒三尊(みろくさんぞん))像(重要文化財)を安置しています。また仏足石(国宝)・仏足跡歌碑(国宝)も安置しています。
  • 大講堂の歴史:大講堂は2003年(平成15年)に再建されました。ちなみに大講堂は1528年(享禄元年)に兵火によって焼失し、1852年(嘉永5年)に再建されたが、2003年(平成15年)の大講堂再建に伴って解体されました。
  • 大講堂の様式:大講堂は正面約41メートル・奥行約20メートル・高さ約17メートルです。
  • 大講堂の仏像:銅造三尊(弥勒三尊)像は中尊が像高約267センチです。

【喜光寺・唐招提寺とともにロータスロードと言われる蓮】

  • 蓮の概要:薬師寺は喜光寺(きこうじ)・唐招提寺(とうしょうだいじ)とともに西ノ京ロータスロードと言われています。ロータス(Lotus)は蓮です。薬師寺は蓮(ハス)の名所です。蓮は鐘楼周辺に鉢植えにされて並べられます。蓮はインスタ映えします。蓮は例年6月下旬頃から8月中旬頃に見ごろを迎えます。ちなみに蓮は午前中が見ごろです。

【般若心経などを写経できるお写経道場】

  • お写経道場の概要:お写経道場は玄奘三蔵院伽藍にある本坊寺務所の奥にあります。薬師寺では1968年(昭和43年)から白鳳伽藍復興の為のお写経勧進を行っています。お写経道場では般若心経・薬師経・唯識三十頌を写経するそうです。お写経道場の開門閉門は毎日8:30~17:00です。(要確認)

【平安時代後期まで存続していた本薬師寺跡(特別史跡)】

  • 本薬師寺跡の概要:本薬師寺跡は奈良市橿原市城殿町279(畝傍御陵前駅近く)あります。チャンスがあれば見ましょう。本薬師寺は中央に金堂、金堂前に中門・東西塔、金堂背後に講堂を配した伽藍配置が「薬師寺式伽藍配置」と言われています。本薬師寺は11世紀初頭(平安時代後期)まで存続していたとも言われ、金堂の礎石・東西両塔の上壇や塔の心礎などが残されています。

【薬師寺 備考(参考リンク・・・)】
*参考・・・薬師寺(見どころ・アクセス・・・)ホームページ

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