春日大社の見どころ完全ガイド｜本殿などの観光スポット解説
春日大社の見どころまとめ｜国宝・重要文化財とおすすめ観光スポット
春日大社は世界遺産に登録された奈良屈指の観光名所で、観光や修学旅行で絶対訪れたい人気スポットです。春日大社には祭神を祀る本殿をはじめ、高さ約10メートルの中門、約2,000基の石燈籠・約1,000基の釣燈籠など多彩な見どころが揃っています。このページでは文化財やおすすめの観光スポットを分かりやすくまとめて解説し、歴史・建築様式なども交えて紹介します。
【本殿4棟（国宝）の見どころ解説｜春日大社の聖域】
本殿4棟は春日大社の聖域で、第1殿に武甕槌命（たけみかづちのみこと）、第2殿に経津主命（ふつぬしのおおみこと）、第3殿に天児屋根命（あめのこやねのみこと）、第4殿に比売神（ひめがみ）を祀っています。祭神は春日神と総称され、古代から藤原氏の氏神として信仰され、春日大社を訪れた際に最初にお参りすべき神様です。春日大社には拝殿がなく、一般の参拝者は幣殿（へいでん）の前、初穂料（はつほりょう）を納めた参拝者は中門の前で参拝します。
★本殿4棟は「古社記」によると768年（神護景雲2年）11月9日に創建されたと言われています。現在の本殿4棟は1863年（文久3年）の式年造替（しきねんぞうたい）で建立されました。式年造替は20年に一度、社殿を建て替えたり、美しくしたりするものです。
★本殿4棟は一間社（いっけんしゃ）春日造（かすがづくり）で、屋根が檜皮葺（ひわだぶき）です。妻入の切妻造（きりづまづくり）で、曲線を描いて反り、正面に片流れの庇（ひさし）・向拝（こうはい）が付けられていす。春日造は日本の神社建築に大きな影響を与え、春日大社の象徴になっています。
【中門（重要文化財）の見どころ解説｜春日大社最大の見どころ】
中門は本殿の前に建立され、初穂料を納めた参拝者が間近に近づいて本殿を参拝します。中門は高さ約10メートルで、金色に輝く釣燈籠が釣るされ、春日大社の中で一番写真映えします。中門は神事の際に神職が座る場所だが、かつて春日大社と一体だった興福寺（こうふくじ）の僧侶が読経していた場所です。
★中門は1613年（慶長18年）に建立されたと言われています。明治時代に正面の唐破風（からはふう）が取り付けられました。
★中門は一間一戸（いっけんいっこ）の楼門（ろうもん）で、屋根が入母屋造（いりもやづくり）の檜皮葺です。
【幣殿・舞殿（重要文化財）の見どころ解説｜本殿参拝】
幣殿・舞殿は南門をくぐった先に建立された一棟の建物で、東側が幣殿、西側が舞殿になっています。幣殿は天皇が供えた御幣物（ごへいもつ）を一旦納める場所、舞殿は宮中伝来の御神楽（みかぐら）を舞う場所でした。なお春日大社では一般の参拝者は幣殿の前から本殿を参拝します。
★幣殿・舞殿は1650年（慶安3年）から1652年（承応元年）に建立されたと言われています。
★幣殿・舞殿は檜皮葺で、幣殿は天井が小組格天井（こぐみごうてんじょう）、舞殿は天井が化粧屋根裏（けしょうやねうら）になっています。
【南門（重要文化財）の見どころ解説｜春日大社最大の門】
南門は高さ約12メートルで、春日大社最大の門です。南門は本殿を参拝する出入口になっています。南門は春日祭の際、藤原氏以外の勅使（ちょくし）が入って奉仕したと言われています。なお南門近くには桜が植えられ、春に華やかに彩られ、季節限定の見どころになります。
★南門は1382年（弘和2年・永徳2年）から1385年（元中2年・至徳2年）に建立されたと言われています。
★南門は三間一戸（さんげんいっこ）の楼門で、屋根が入母屋造の檜皮葺です。
【約3,000基の燈籠の見どころ解説｜節分万燈籠・中元万燈籠】
約3,000基の燈籠は春日大社観光で最も有名な見どころです。燈籠には藤原忠通（ふじわらのただみち）が奉納し、日本国内で2番目に古い石燈籠と言われる「柚木（ゆのき）燈籠（1136年）」、藤原頼通（ふじわらのよりみち）が寄進し、本殿4棟と若宮神社を飾る「瑠璃（るり）燈籠（1038年）」があり、歴史的価値が高い燈籠が多く残されています。約3,000基の燈籠の内、約2,000基の石燈籠は一之鳥居から本殿に向かう参道脇などに建立され、約1,000基の釣燈籠は本殿などを囲む東回廊・西回廊・御廊などに釣られています。節分万燈籠（立春の前日）・中元万燈籠（8月14日・15日）では約3,000基の燈籠に火が灯され、幻想的な雰囲気を醸します。万燈籠は1年に3日しかない限定の見どころです。
★燈籠には江戸幕府5代将軍・徳川綱吉（とくがわつなよし）と正室・信子、徳川綱吉の生母・桂昌院（けいしょういん）、宇喜多秀家（うきたひでいえ）、直江兼続（なおえかねつぐ）、藤堂高虎（とうどうたかとら）などが寄進した燈籠もあります。
★石燈籠には竿（さお）の部分に「春日大明神」と刻まれたものが15基ほどあり、一晩に3基見つけたら長者（お金持ち）になれると言われていることが豆知識です。3基で小金持ち、5基で大金持ちになれるとも言われています。
【東御廊・西御廊・北御廊・捻廊（重要文化財）の見どころ解説】
東御廊（おろう）・西御廊・北御廊・捻廊はいずれも重要文化財に指定され、東御廊・西御廊・北御廊は本殿などを囲み、神域を守護しています。東御廊は西端が中門、西御廊・北御廊は東端が中門に繋がっています。捻廊は移殿（うつしどの）から御廊に繋がる渡り階段です。捻廊には江戸時代前期に大工・彫刻師であった左甚五郎（ひだりじんごろう）が作ったという伝承が残されています。捻廊はかつて登廊（とろう）と言われていたそうです。
★東御廊・西御廊・北御廊は1613年（慶長18年）に建立されたと言われています。捻廊は1707年（宝永4年）から1709年（宝永6年）に建立されたと言われています。
★東御廊・西御廊・北御廊・捻廊は切妻造の檜皮葺です。
【移殿・直会殿・宝庫（重要文化財）の見どころ解説】
春日大社にはいずれも重要文化財に指定されている移殿・直会殿・宝庫があります。
★移殿は20年に一度行われる式年造替の際、本殿と若宮神社の祭神を遷しました。移殿はかつて神前で奉仕をする内侍（ないし）が控え、内侍殿（ないしでん）とも言われました。移殿は1385年（元中2年・至徳2年）から1388年（元中5年・嘉慶2年）に建立されたと言われています。移殿は流造（ながれづくり）の檜皮葺です。
★直会殿では春日祭の際、勅使（ちょくし）以下の直会の儀式が行なわれていました。直会殿は平安時代（794年～1185年）以降に法華八講（ほっけはっこう）が盛大に行なわれ、八講屋とも言われました。直会殿は1650年（慶安3年）から1652年（承応元年）に建立されたと言われています。直会殿は北端が流造、南端は入母屋造の檜皮葺です。
★宝庫は朱塗（しゅぬり）の倉庫（板倉）です。宝庫は春日祭の際、本殿に飾る御神宝（鏡（かがみ）・太刀（たち）・鉾（ほこ）・弓矢などなどを収納しています。1939年（昭和14年）に宝庫の天井裏から12振りの太刀が発見されました。宝庫は1382年（弘和2年・永徳2年）から1385年（元中2年・至徳2年）に建立されたと言われています。宝庫は校倉造（あぜくらづくり）で、屋根が切妻造の檜皮葺です。
【竈殿）・酒殿（重要文化財）の見どころ解説｜春日祭】
竈殿では春日祭の際、神饌（しんせん）が調理され、中に竈（かまど）があります。酒殿では春日祭の際、社醸酒が造られました。酒殿は酒弥豆彦神（さかみずおのかみ）・酒弥豆売神（さかみずめのかみ）を祀っています。
★竈殿は1388年（元中5年・嘉慶2年）に再建されたと言われています。酒殿は1632年（寛永9年）に建立されたと言われています。
★竈殿は切妻造の檜皮葺です。酒殿は流造の檜皮葺です。
【内侍門・清浄門・慶賀門（重要文化財）の見どころ解説】
いずれも重要文化財に指定されている内侍門・清浄門・慶賀門は西回廊にあり、北側が内侍門、中央が清浄門、南側が慶賀門です。内侍門はかつて宮中から斎女（いつきめ）・内侍が派遣された際、斎女・内侍が出入りしました。清浄門は現在、神職の通用門だが、かつて興福寺の僧侶が出入りし、僧正門（そうじょうもん）と言われました。慶賀門はかつて正式な参入門でした。慶賀門は春日祭の際、勅使が藤原氏の場合に慶賀門から入って奉仕しました。内侍門・清浄門・慶賀門は春日大社の歴史を知る貴重な見どころです。
★内侍門・清浄門・慶賀門は1382年（弘和2年・永徳2年）から1385年（元中2年・至徳2年）に建立されたと言われています。
★内侍門・清浄門・慶賀門は一間一戸門（いっけんいっこもん）で、屋根が切妻造の檜皮葺です。慶賀門は内侍門・清浄門と異なり、天井板が格天井（ごうてんじょう）になっています。
【一之鳥居（重要文化財）の見どころ解説｜日本三大鳥居】
一之鳥居は春日大社の表玄関で、観光客や修学旅行生を向かい入れます。一之鳥居は表参道の入口に建立された高さ約7.75メートル・柱間約5.2メートルの木造春日鳥居（かすがどりい）で、福井敦賀の気比神宮（けひじんぐう）・広島宮島の厳島神社（いつくしまじんじゃ）とともに日本三大鳥居に数えられています。
★一之鳥居は平安時代（794年～1185年）後期に建立されたと言われています。現在の一之鳥居は1634年（寛永11年）に建立されました。
【社頭の大杉・砂ずりの藤の見どころ解説｜春日大社の社紋】
社頭の大杉（しゃとうのおおすぎ）は直会殿の屋根を突き抜けて伸びる樹高約約25メートルです。砂ずりの藤は直会殿近くに植えられ、例年ゴールデンウィーク頃に紫色の花を咲かせ、季節限定の見どころです。砂ずりの藤は花房が1メートル以上に延び、 砂に擦れるということに由来しています。なお春日大社の社紋は藤です。
★社頭の大杉は絵巻物「春日権現霊験記（かすがごんげんれいげんき）・1309年（延慶2年）」に描かれ、樹齢800年から1,000年と言われています。大杉の根元からは樹齢500年の伊吹（柏槙）の生えています。
★砂ずりの藤は樹齢700年以上と言われています。「春日権現験記」によると摂関・近衛家（このえけ）から献木されたと言われています。
【国宝殿（宝物殿）・萬葉植物園の見どころ解説｜藤の名所】
国宝殿は春日大社が所有する国宝352点・重要文化財916点などを収蔵・展示しています。国宝殿は第60次式年造替を記念し、宝物殿を増改築して名称を改め、2016年（平成28年）10月1日にオープンしました。萬葉植物園には日本最古の和歌集「万葉集（まんようしゅう）」に関わる草花約300種がゆかりの万葉歌とともに植えられています。萬葉植物園は面積約9,000坪で、萬葉園・藤の園・五穀の里・椿園などに分けられ、藤の園に20種・約200本の藤が植えられています。
★萬葉植物園は1932年（昭和7年）に昭和天皇（しょうわてんのう）の下賜金により、「万葉集」にゆかりの深い春日野に約300種の萬葉植物を植栽したのが始まりで、国内最古の萬葉植物園と言われています。
【春日大社の摂社・末社の見どころ解説｜春日若宮おん祭】
春日大社には若宮神社・榎本神社（えのもとじんじゃ）・祓戸神社（はらえどじんじゃ）・一言主神社（ひとことぬしじんじゃ）・金龍神社（きんりゅうじんじゃ）などの摂社・末社があります。
★若宮神社は大雨・洪水による飢饉が続き、疫病が蔓延したことから万民救済の為、1135年（保延元年）に春日大社と同じ規模の神殿を建立したのが起源です。若宮神社は天押雲根命（あめのおしくもねのみこと）を祀っています。なお1136年（保延2年）9月17日に例祭が行われ、春日若宮おん祭の起源になりました。春日若宮おん祭は一度も途切れることなく、880年以上続けられ、12月の奈良を代表する風物詩になっており、季節限定の見どころです。
【春日大社の見どころ 備考（参考リンク・・・）】
春日大社では節分（立春の前日）に節分万燈籠、8月14日・15日に中元万燈籠が行われ、19:00～21:30に約2,000基の石燈籠・約1,000基の釣燈籠に火が灯され、幻想的な光景が見られ、見どころになっています。
●住所：奈良県奈良市春日野町160
●アクセス：近鉄奈良線の「近鉄奈良駅」下車徒歩約25分、JR西日本の「奈良駅」下車徒歩約35分、奈良交通バスの「春日大社本殿」下車すぐ、または「春日大社表参道」下車徒歩約10分。
*参考・・・春日大社（見どころ・アクセス・・・）ホームページ
